Core 第 12 世代 CPU を用いた PC を作るシリーズの第 8 回は、メモリの選定について書いていこうと思います。 前回の記事はこちらからどうぞ。
容量を決める
メモリの選定にあたって、まず決めなければならないのは容量です。 Ryzen 9 5900X のマシンを作ったとき考察したように、昨今メモリの消費量は爆増しています。
最近大きなディスプレイを使っていることもあるのですが、とにかくたくさんのアプリを起動しっぱなしで切り替えながら使うことが多いです。 また私はブラウザーに MS Edge を使っているのですが、垂直タブ機能を導入してからというもの、タブが快調に増殖します。 ブラウザーとチャットツールだけで 2GB 以上のメモリを消費するのが当たり前になっています。
また私が主に使っている開発環境は Visual Studio です。 2021 年にリリースされた Visual Studio 2022 から 64bit アプリ化されました。 これによって、巨大なプロジェクトを開くことができるようになったのですが、その分メモリを食うことになりました。
公式サイトのシステム要件を見ても、メモリは 16GB 以上が推奨されています。
一般的なプロフェッショナルソリューションには 16 GB の RAM を使用することをお勧めします。
こう考えると、最低でも 1 台の PC に対して 16GB 割り当てたくなります。 実際 16GB 割り当てて動かしていると、割と限界までメモリは消費するものの、全く足りないというほどでもありません。 16GB ~ 24GB がコスト的に適正量かな、と思います。
さらにさらに、私は Hyper-V の仮想マシンを常用します。 起動するマシンの分、メモリを搭載しておかないと、満足に仮想マシンを動かすことができません。 最近仮想マシンは 2 台動かすことが多いです。 ホストマシン 1 台分も追加すると、計 3 台分のメモリが必要です。 1台当たり 16GB ~ 24GB で、最大の 24GB 使うことを仮定すると、 64GB 必要となります。
メモリを選ぶ
サポートリストを見る
メモリを選ぶ場合は、マザーボードメーカーの出しているメモリサポートリストから選ぶのが確実です。 ASRock Z690 Pro RS のメモリサポートリストは以下にあります。
この中から選んでいきます。
メモリサイズで絞り込む
サポートリストから、まずはお目当ての 64GB メモリに絞り込みます。 ASRock のメモリリストには、 1 枚あたりのサイズが書いてあります。 今回は 2 枚刺しで 64GB にしたいので、 32GB の物に絞り込みます。
メモリスピードで絞り込む
ASRock Z690 Pro RS は、ネイティブ 3200MHz 、オーバークロック時 5000 MHz のメモリに対応しています。 正直メモリのオーバークロックは、安定性が犠牲になるイメージがあります。 またオーバークロックしたところで、実アプリの性能が大きく向上することはほとんどありません。 ですので、メモリは原則 3200MHz での運用を基本とし、オーバークロックするにしても 3600MHz くらいをイメージして選定していきます。
動作クロックが明らかに低いものは除外し、最低でも 3200MHz に対応したものに絞り込みます。 ここまでの絞り込みを行ったところ、 19 個まで候補を減らすことができました。
2 枚組のものに絞り込む
ASRock のメモリサポートリストは、 2 枚組以外の型番もたくさん掲載されています。 同じメーカーで似たような型番がたくさんある場合、メモリの本数によって型番が分かれていることもあります。 型番を眺めていると、何枚組かわかるようになってきます。
最初からそう言った目利き力は出せないと思うので、 Web 検索して 2 枚組の物に絞り込みましょう。 サポートリスト上 2 枚組の型番ではない場合も、同じメモリが 2 枚組で販売されていることもあります。 ひとつひとつ調べてみるしかないので、地道に検索してみてください。
私が絞り込んだ時は、これで 11 個まで候補を減らすことができました。
光らないものを選ぶ
私は PC をピカピカさせる趣味はないので、 RGB のついていないメモリから選定します。 CPU クーラーのファンがメモリの上空に来るので、光らせたとしてもかっこよくはならないです。 ということで、ピカピカするものは除外してしまいます。
入手性を調べる
次に大切なのは入手性です。 いかに高性能で要件にあうメモリであっても、日本国内で手に入らなければ意味がありません。 メモリサポートリストに載っているメモリには、日本国内で販売されていないものも多数記載されています。 またすでに終売しているものが載っていることもあります。 型番で検索して、国内で入手可能かどうか確認しましょう。
私が検索した限りでは、以下にあげる 6 種類のメモリが国内で入手できそうでした。
メモリの高さを確認する
空冷 CPU クーラーを使用するのであれば、ここでメモリの高さを十分に確認しましょう。 前回の記事で選定した Deepcool AK620 は、最大 45mm の高さまで搭載できます。 今回調べたメモリは、すべてこの高さに収まっているので、どれを選択しても問題なさそうです。
価格とデザインで比較する
当然ながら、メモリにも性能があります。 動作クロックであったりタイミングであったり、激しく使い込むのであれば十分に検討するべきだと思います。 しかし、実際に使ってみればわかりますが、メモリを速くしたところで、価格差の割に体感できるほど性能差を感じません。 また安定して動作する設定を詰めていくのにも、それなりの時間を要してしまいます。 そういっためんどくさい作業がしたくないのであれば、ある程度の性能が保証されているものの中から、価格やデザインで選んでしまっても良いのではないかと個人的に思います。 様々な価値基準をおいてパーツ選定できるのが、自作 PC の良いところですよね。
デザインと性能の両方に影響を与える評価軸として、ヒートシンクの有無があります。 性能だけでいうなら、DDR4 メモリは過度なオーバークロックをしない限りヒートシンク不要です。 ただ、私はヒートシンク付きのメモリのほうがデザイン的に好みです。 今回は側面パネルがガラスのケースを使っているので、デザイン面も少しだけ気にしたいと思っています。 ヒートシンクなしのメモリだと、あまりにも無骨すぎて恰好がつかないので、今回はヒートシンクありの物から、価格面でメリットのあるものを選ぼうと思います。
Corsair Vengeance メモリに決定
価格で比較すると、 Corsair の Vengeance メモリが一番お安く手に入るようですので、これを選択します。 毎度このメモリを使っているような気がしなくもないのですが、ロープロファイルメモリの中では圧倒的にコスパが良いと思います。
次回は SSD の選定について書こうと思います。