Core 第 12 世代 CPU を用いた PC を作るシリーズの第 5 回は、マザーボードの選定について書いていこうと思います。 前回の記事はこちらからどうぞ。
おさらい
ここまでに決めてきた構成を再度おさらいしておきます。
パーツ | 選定品 |
---|---|
CPU | Intel Core i7 12700K |
PC ケース | MSI MPG SEKIRA 100P |
これらのパーツを生かすマザーボードを選択していきます。
Z690 / H670 / B660 / H610 の選択
マザーボードを決めるにあたって、まずはチップセットを選定しなければなりません。 Core 第12世代 CPU で利用できるチップセットは 4 種類あります。 まずはこれらのチップセットで、普通に PC を使う人が着目すべき部分をピックアップして見てみましょう。
Z690 | H670 | B660 | H610 | |
---|---|---|---|---|
CPU オーバークロック | 〇 | × | × | × |
メモリオーバークロック | 〇 | 〇 | 〇 | × |
PCIe 5.0 レーン数(CPU) | 16 | 16 | 16 | 16 |
PCIe 4.0 レーン数(CPU) | 4 | 4 | 4 | 0 |
PCIe 4.0 レーン数(チップセット) | 12 | 12 | 6 | 0 |
PCIe 3.0 レーン数(チップセット) | 16 | 12 | 8 | 8 |
USB 3.2 Gen2x2 | 4 | 2 | 2 | 0 |
USB 3.2 Gen2x1 | 10 | 4 | 4 | 2 |
USB 3.2 Gen1 | 10 | 8 | 6 | 4 |
まず目につくのはオーバークロックの部分です。 今回選定している K 付きの CPU は、オーバークロックが可能なモデルです。 K 付きや KF 付き CPU でオーバークロックをしたいのであれば、 Z690 チップセット 1 択です。 メモリのオーバークロックは B660 より上位のチップセットなら対応しています。
続いてPCIe について見てみます。 通常グラフィックボードを接続する CPU 直結の PCIe 5.0 16 レーンは、どのチップセットも確保されています。 NVMe で接続する M.2 SSD 向けの PCIe レーンは、チップセットごとに少々差があります。 CPU 直結の PCIe 4.0 は、 B660 より上のモデルなら 4 レーンあります。 通常これを M.2 SSD の接続のために使用します。
チップセット側の PCIe 4.0 も差異があります。 M.2 SSD を 2 つ以上接続したいのであれば、チップセット側の PCIe レーンも使用して M.2 SSD を接続することになります。 2 つとも PCIe 4.0 で接続したいなら、チップセット側にも PCIe 4.0 を 4 レーン確保する必要があるため、 B660 より上位の物を選ばなければなりません。
USB ポート数も結構差があります。 上位のチップセットほど、多くの USB ポートを備えることができる仕様になっています。
H610 は選択肢から除外
比較表を見てもわかる通り、 H610 チップセットは今回の構成に対して貧弱すぎます。 私の場合これを選ぶ理由はないので、今回は検討テーブルから除外します。
PCIe 4.0 のレーン数
今回私は PCIe 4.0 対応の M.2 SSD を 2 本搭載しようとしています。 1 つはシステムドライブ用、もう 1 つは仮想マシンのイメージ置き場です。
B660 でもこの構成なら確保できます。 しかし、拡張性という意味では相当物足りなくなります。 私が将来やりそうな拡張は、M.2 SSD の追加です。 現在 SATA 接続の 2.5 インチ SSD を 2 本所有しています。 これを M.2 SSD 1 つに統合して置き換える可能性を否定できません。 そうなると、 PCIe 4.0 で 3 本目の M.2 SSD を差し込む余裕が欲しくなります。
この時点で B660 は除外せざるを得ません。
Z690 vs H670
最終的に残ったのは Z690 と H670 です。 最初に述べた通り CPU のオーバークロックに対応しているかどうかが、これらの最も大きな差です。
また製品数という意味でも、大きな差があります。 Z690 は数多くの製品が登場していますが、 H670 チップセットを載せている製品は、少数しかありません。 今後 H670 を搭載するマザーボードがリリースされる予定も見聞きします。 しかし、それでも製品バリエーションは Z690 の圧勝だと思います。
チップセット自体の差異も当然ありますが、マザーボードにそれらをフルスペックで搭載することはほぼありません。 Z690 は、低価格帯から高価格帯まで幅広く様々な仕様のものがあります。 そのため、自分の必要なものだけを装備したマザーボードを選択することができる可能性が高くなります。 しかし H670 は低価格帯のマザーボードしかありません。 チップセットはサポートしていても、コストカットのため搭載していない機能があったりします。 製品バリエーションが少ないと、自分の要求に完全に合致する 1 枚を見つけることが困難になるのです。
Z690 を選択
今回は Z690 チップセットを選択しようと思います。 PCIe レーン数や USB ポート数については、私の用途では H670 でも十分だと思います。 しかし、 CPU に Core i7 12700K を選択したこともあり、オーバークロックできた方がいろいろ楽しめそうなんじゃないかと思いました。 また、選択肢の多さも魅力に感じました。 そんなこんなで、今回は Z690 チップセットのマザーボードから選ぶことにします。
まとめ
今回はチップセットの選定まで、どのように考えたかを書き記してみました。 次回はさらに踏み込んで、具体的なマザーボードの選定について書いてみようと思います。