ついに待ちに待った Intel Core シリーズの第 12 世代 CPU が発売されました。 年明け後マークなしの SKU も発表され、各種ベンチマークも明らかになり、構成を選択しやすい状況になったように思います。 というわけで今回から数回に分けて、 Core 12 世代の CPU を使った PC の構成について考えてみようと思います。
対象ユーザー
私自身です。 PC の主な用途はアプリケーション開発用です。 Hyper-V や Docker Desktop を用いた仮想環境を手元で稼働させながら、アプリケーションの開発を行います。 仮想マシンは複数台立ち上げることもあります。
現状ゲームはやりたいけど時間が取れなくてできていません。 今後はやりたいなーと思っています。
どの SKU を選択するか
Core 第 12 世代も、多くの SKU がリリースされています。 まずは Core i3 ~ i9 の中でどれを選択するか、といったあたりを考察していきます*1。
可能な限りコア数を重視する
※本稿では、論理コアの数(=スレッド数)のことをコア数と表現しています。
以前アプリケーション開発にはどの程度のコア数が必要なのか、簡単に検証してみたことがあります。
ストレスなくアプリケーションの開発を進めたいなら最低でも 8 コアあったほうが良いことがわかっています。 規模の大きなアプリケーションを開発するなら、 12 コアある方がより良い、という結果でした。 またシングルスレッドの性能はある程度必要であるものの、コンパイル速度向上にはコア数のほうが重要であるという傾向も出ていました。
私の用途では仮想環境を使うことから、それらにある程度コアを割り当ててあげないと、全体的に動作がもっさりします。 総合的に見ると、最低でも 16 コア以上の CPU を選択したほうが幸せになれそうであることは明らかです。 この条件を満たす Core 第 12 世代 CPU は以下の通りです。
- Core i9 12900K / 12900KF / 12900 / 12900F / 12900T (P Core × 8、E Core × 8、24 論理コア)
- Core i7 12700K / 12700KF / 12700 / 12700F / 12700T (P Core × 8、E Core × 4、20 論理コア)
- Core i5 12600K / 12600KF (P Core × 6、E Core × 4、16 論理コア)
この中から選択することになりそうです。
T シリーズは除外する
コア数だけで見ると、 12900T や 12700T も選択肢に入ってきます。 T シリーズは省電力向けの SKU で、小型 PC を組みたい人向けの SKU と位置付けられています。 省電力な分、同じ型番であっても性能が大きく下げられているのが特徴です。
アプリケーション開発を行う場合、 CPU は一時的に高速に回ってもらわなければなりません。 また常時起動するような PC でもないので、省電力性をそこまで求めているわけでもありません。 そう考えると、 T シリーズは私の用途に合っているとは言えません。
P コアの数に注目する
Core 第 12 世代 CPU は、高速処理を実現する P Core と、高効率な処理を実現する E Core が組み合わされています。 アプリケーション開発で最もパワーを要するコンパイル作業は、主に P コアを利用していくことが想定されます。 よって P Core の多い CPU のほうが用途に合っています。 以前の検証結果から、仮想マシンを使わないのであれば Core i5 12600K / 12600KF あたりでも十分ですが、私の用途には少しコア不足を感じます。 ということで、 Core i5 のラインナップも今回は除外します。
内臓 GPU の要否
ゲームやるのであれば、グラフィックボードを別に用意することが当たり前になっています。 そうしないと新しめのゲームはほとんどまともにプレイできない状況です。 しかし、ゲームをプレイしない場合や、本当に軽いブラウザゲームしかやらない、というような人は、グラフィックボードを買う必要ないと思います。 いま必要のないものを最初からそろえる必要がないのも、 PC を自作する価値のひとつだと思います。 特に最近はグラフィックボードの価格が高騰しまくっているので、慌てて購入しても、相当高い値段で買うことになってしまいます。
例えば私の購入した RTX 3070 は、2021/1/10 現在の値段が約 11 万円です。 1 年前に私が購入した値段は 7 万円を切っていました。 今すぐほしい人は買えばいいと思いますが(ほしい時が買い時なので)、古いものを持っているならそれを流用するほうが賢明かもしれません。 またゲームをやるかわからないのであれば、グラフィックボードの購入を今はやめておくのも賢い判断だと思います。
GPU 内臓モデルのほうがいくらか値段は高くなります。 しかし、グラフィックボード故障時や各パーツの不具合対応時にも、最小構成で画面を映すことができるため、保険として持っておくには安い買い物だと私は思うのです。 そんなこともあり、今回は GPU 内臓モデルを使用し、グラフィックボードは流用する前提にしていきます。
ここまでの絞り込みで以下の 4 モデルが対象となりました。
- Core i9 12900K / 12900(P Core × 8、E Core × 8、24 論理コア)
- Core i7 12700K / 12700(P Core × 8、E Core × 4、20 論理コア)
価格との相談
これらはいずれも私の用途に合う CPU ですので、あとは価格との相談で決めていきます。 国内の PC 専門店の価格を見ると、おおよそ以下のような感じでした。
モデル | 価格 |
---|---|
Core i9 12900K | 約74,000円 |
Core i9 12900 | ? |
Core i9 12700K | 約52,000円 |
Core i9 12700 | 約49,000円 |
12900 無印はまだ販売されていないので価格はわかりませんが、定価を見る限り、リリース直後は 6万円後半くらいになるのではないかと思います。 また 12700 無印はリリース間もないため、ほとんと値引きされていない状態です。 12700K はすでに値下がり始めているので、本日時点で見ると 12700K のコスパの良さが目立ちます。
Core i7 12700K を採用
最終的に Core i7 12700K を採用することにしました。 私の用途には十分な性能を持っていそうです。 また熱という意味でも Core i9 12900K より運用しやすそうです。
もう少し時間がたって、 12700 や 12900 の無印版の価格が大きく下がるようなら、その時はそちらを選択する可能性もありそうです。 本日時点では未発売だったり、価格がこなれていないこともあり、選択肢から外さざるをえなかったのが実情ですね。
次回はマザーボードの選択編です。